災害と向き合うということ(2)
こんにちは。杉谷遼です。
前回に引き続き今回は「災害と向き合うということ(2)」として、前回の脆弱性を乗り越えるためにある「レジリエンス」という概念を紹介しながら、レジリエンスを高めるために何が出来るかについて書いていこうと思います。
目次
1)脆弱性を乗り越えるために
2)レジリエンスとは何か
3)社会的結びつきを強くしよう
1)脆弱性を乗り越えるために
前回、日々の社会の中で脆弱性は形成されていくということを書きました。まだ読まれていない方は以下から前回の記事をご覧ください。
https://ryohsugitani.hatenablog.com/entry/2019/10/14/211122
だからこそ、僕たちは日々の社会に疑問を持ちながら、リスクが見えなくなるようなきれいなラッピングに包まれて、脆弱性が形成されていないか考え続けなければならないという内容でした。
今回はそんな個人の姿勢だけでなく、地域やコミュニティといった人同士のつながりが脆弱性を乗り越えるヒントになるということを紹介したいと思います。
途上国には非常に脆弱な地域が多くあります。例えば土地を買うお金がなかったり、政治的な迫害を受けて住む土地がなく、やむを得ずに川辺に住むような状況がまさに洪水といった災害に脆弱な状態です。しかしこのような脆弱な場所で災害が起きた際に被害や復興のスピードに大きな違いが生まれており、それがコミュニティのレジリエンス(粘り強さ、回復力)によるものだと言われています。
ではこのレジリエンスとは何なのでしょうか?
2)レジリエンスとは何か
レジリエンスとは、あるダメージに対して被害をなるべく抑え、素早く元の状況へと回復する粘り強さのことを意味しており、メンタルヘルスの分野から今回のような災害分野にまで様々な分野で使われている概念です。
では、この災害分野においてレジリエンスはどのようなものを指すのでしょうか。
先の途上国の例でいうと、そもそもお金や物資といった資源を持っていること、物資を送ってもらえる知人や協力し合える村があること、情報が手に入る環境にあること、コミュニティの中で会合を定期的に行っており、お互い協力し合える環境にあること等が挙げられます。
これを4つにまとめると以下のようになります。
・資源
・外部との社会的な結びつき
・情報
・コミュニティの結びつき
これらの4つがレジリエンスを形成しているとされており、脆弱性に対抗して被害を粘り強く抑え、回復を早めている要素になっています。
これは途上国だけでなく、日本でも言えることだと感じています。災害に備えて災害備品を整えておくこと、いざというときに頼れる家族や知人と連絡を取り続けておくこと、自分の地域のハザードマップや避難場所を確認しておくこと、隣人付き合いを上手くやっておくこととすればわかりやすくなるでしょうか。
資源や情報といったものは災害への備えとしてよく取り上げられていますが、それと同じくらい地域の外にいる家族との結びつきや隣人同士の結びつきはいざというときに役に立ちます。この社会的な結びつきという側面をもう少し見ていきましょう。
3)社会的結びつきを強くしよう
現代社会、特に都市の生活では社会的な結びつきは弱まっていると言えます。特に地域コミュニティの結びつきは壊滅的だと思います。おそらくほとんどの人、特に1人暮らしの人は自分のマンションに、近所にどのような人が住んでいるかわからないまま生活を送っていると思います。
これは情報技術の発達、物資の充足により自分一人でも生きていくことが出来る環境が出来上がったことが原因にあります。何か困ったことがあっても相談するのは隣の人ではなく、Googleだと思います。しかもそれによって正しい情報が手にはいってしまうため、この傾向は加速してしまいます。
このような状況は非常にレジリエンスが弱い状態にあります。いざというときに助け合うことも難しいですし、避難所での共同生活のような状況になった場合、全く知らない人同士での生活は精神的に疲労します。そのような状況では被害の精神的ショックから立ち直るどころか、さらにふさぎ込んでしまう場合もありますし、復興は進んでいかないと思います。今、日本における災害復興が抱えている大きな問題の1つが確実にこの問題だと思います。
だからこそ、意識的にも僕たちはこの課題を日常の中で乗り越えていかなければならないと思います。非常に身近で、現代においてはメリットを感じにくいことですが、これがいざというときに自分自身の身に返ってきます。いきなり仲良くなるまではいかなくても、毎朝の挨拶や短い会話だけでも全く知らない状況からは大きく変わります。
僕も今住んでいる部屋の隣人には全員挨拶を済ませましたし、お会いした時の挨拶を欠かしていません。特に隣の方は、高齢の方なので何か異変がないか常に気を配っています。
このように身近なところから結びつきを作っていくことが、いざというときのレジリエンスを高めてくれます。防災備品をそろえたり、ハザードマップを確認するのと同様に、ぜひお隣さんとのお付き合いを見直してみてください。
台風19号に続き、台風21号による豪雨災害もありました。被害にあった方とその関係者の方以外は段々と災害の恐ろしさが薄れてきたころだと思います。
もう一度「災害と向き合う」きっかけになればうれしいです。
※今回はこの記事上で募金、支援を呼びかけることはしませんが、募金、ボランティアといった支援を必要としている被災者の方々は多数存在します。助け合う社会のためにも。ぜひともご協力をお願いいたします。(僕も募金という形で支援します。)
今回も記事を読んでいただきありがとうございました。
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