杉谷遼 活動ブログ:世界をより良い場所にするために

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サードウェイはすでにたくさん存在する

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(8月13日発売ハフポスト:Third Way 山口絵理子著)

 

こんにちは。杉谷遼です。

今回は2019年8月に発売になったマザーハウス社長兼デザイナーの山口さんの「サードウェイ」を読んで感じたこと、考えたことを書こうと思います。

 

目次

1)サードウェイとは

2)現代社会ではサードウェイが求められている

3)サードウェイとは新たに創造するものではないかもしれない

 

1)サードウェイとは

「相反する二軸をかけ合わせて新しい道を創造する」

これが山口さんの考えるサードウェイの定義ですが、これを聞いたとき中庸、折衷案と何が違うのかと正直疑問に感じました。これに対してすぐさま、

「私が本書で提示するサードウェイは、そうではない(妥協案、折衷案ではないの意味)。AとB(という対立する2つのもの)のいいところを組み合わせて、新しいものをつくる。そして、ときにAに寄ったり、Bに寄ったりしながらも、らせん階段をのぼるように上昇させていく」

それがサードウェイだとのこと。となると僕の頭に次に浮かんだ止揚(アウフヘーベン)ともどこか違うようなイメージを持ちながら本書を読み進めていきました。本書の中では山口さんがマザーハウスを経営していく中で、多くの困難にぶつかりながらも途上国と先進国、ビジネスと社会性等様々な対立するものの中にマザーハウスという第3の道を作ってきたことが語られており、初めはピンと来なかったサードウェイというものが明確になってきました。

本書を読んで僕なりにサードウェイを定義するのであれば、

「相反するように見える2軸の光の部分の掛け算で生まれるものを信じ続けること」

となりそうです。この中で特に「光の部分の掛け算」、「信じ続けること」がキーワードになりそうだと考えています。(詳細は後程)

 

2)現代社会ではサードウェイが求められている

現代には非常に多くの2項対立が存在します。例えば、前回記事にさせていただいたアマゾンに代表されるような開発と環境の問題があります。

ブラジルからすれば森林の伐採によって開発を進めて少しでも輸出量を増やしていきたい、しかしその一方で世界的な視点で見れば非常に貴重な自然資源であるアマゾンの森林を守っていきたい。まさに開発と環境保全が相反する2軸になっています。

これは決してアマゾンだけの話ではなく、CO2排出量を制限しようという議論の段階から、先進国は自分たちの発展の時には何も気にしていなかったくせに、今頃になって環境のことを気にし出し、途上国の発展を妨げるような国際条約を結ぼうとしていると対立したこともありました。

このように開発と環境保全という相反する2軸の両立を国際社会は今の途上国と言われている地域に求めているわけです。しかし、多くの場合この2軸のうちのどちら寄りにスタンスを取るかという議論に終始しており、サードウェイがあるのではないかという議論はあまり生まれていないように感じます。実際に今回のアマゾンの件でも、ボルソナロ大統領はJICA等の支援を受けて開発よりのスタンスでしたが、国際批判を受けて環境保全の方向に少し揺り戻される形になっています。しかし、2つを本当の意味で両立していくようなサードウェイ的な議論はなされていません。

この例に見るように、現代社会は2項対立の対立軸の上での議論に終始してきました。しかしそれだけでは今後の本当の意味での発展は望めないのではないでしょうか。

だからこそサードウェイを模索していくことが現代社会にとって本当に価値のあることになってくると考えています。SDGsという目標もこのサードウェイ的な議論の先にある目標だと感じています。

 

3)サードウェイとは新たに創造するものではないかもしれない

ここまででサードウェイ的な考え方が非常に重要だということを書いてきましたが、どのようにサードウェイを見つけていったら良いかという部分に話を移しましょう。

最初に述べたように相反する2軸のいいところを組み合わせる、光の部分の掛け算ということが1つ目のポイントです。開発の光の部分、それは人々の所得安定化、それによる貧困削減や公衆衛生の改善です。逆に環境保全の光の部分、それは森林のエコシステムを守ること、それによって空気中の二酸化炭素濃度の上昇を抑え、気候変動の激化を防止することにあります。これらの光の部分を同時に満たすものはないのでしょうか?

僕が少し考えただけでも、森林保全をした上で国立公園のような形でのエコツーリズムのようなアイディアがパッとですが浮かびました。他にもきっと何個もあると思いますが、おそらくこれらの選択肢を選ぶことはできません。それはどうせ大した額にならない、森林伐採による開発の方が儲かるといった批判かもしれません。又は、そんなことが実現できる可能性は無いに等しい、成功している国も少ないじゃないかといった批判かもしれません。

いずれにせよ「光の部分の掛け算で生まれたもの」を「信じ続けること」が出来ないからサードウェイを選べないのではないかというのが僕の考えです。

ここは山口さんの意図していることと異なるかもしれませんが、そういう意味で「いいところの組み合わせ」で生まれるものは必ずしも「新しい」ものではないのではと思います。

きっとパッと思いついたけど実現性が低そう、実現するのが非常に面倒なものだったり、誰かに批判されて無理だと諦めてしまったものだったり、サードウェイの種はたくさん転がっていると思います。

だからこそ、本当にサードウェイを進んでいくために重要なことは、その道を信じ続け、面倒であることを愚直にやり抜くこと、批判されてもやり抜くことだと考えています。

そんな面倒で難しいことをやり抜いてきたからこそ、今のマザーハウスや山口さんに価値があるのだと本書を読んで本当に強く感じました。

 

今回も記事を読んでいただきありがとうございました。

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