お金と価値の関係性
こんにちは。杉谷遼です。前回から日にちが経ってしまいましたが、ソーシャルビジネスに関する連続記事の最終回を書こうと思います。
最終回はソーシャルビジネスが今後、将来的に資本主義経済において、どんな役割を果たしていくのかということについてです。
目次
1)ビジネスと社会性に付きまとうお金の問題
2)結局お金って何なのか
3)お金と価値の関係性を回復するために
1)ビジネスと社会性に付きまとうお金の問題
今回、この3つ目の記事は別の内容にする予定だったのですが、先日僕が加入している国際協力サロン(詳細は以下)で、ソーシャルビジネスに関するオンラインカンファレンスを行い、これを受けて、内容を変更しました。
https://readyfor.jp/projects/development-lab
オンラインカンファレンスではソーシャルビジネス、NPO、企業といった3つのアクターからどんな問題に困っているのか、ソーシャルビジネスの未来は?ということについて議論させていただいたのですが、そこで1つのキーワードについての議論が大いに盛り上がりました。
そのキーワードが「お金」です。
大企業が社会性に配慮していく際に障壁になるものが企業の資本である株式を握っている株主や投資家
NPOは寄付金と事業利益のバランスを維持しなければならないため、企業のように大きく動くことが出来ない
etc...
ソーシャルであることが「お金」によって大きく制限を受けていることがこのオンラインカンファレンスで如実に描き出されました。
ビジネスにも社会性にも「お金」は付きまとう、考えれば当たり前のこの事実ですが、改めて強く突き付けられたことで、僕の中で考えるきっかけになりました。
2)結局お金って何なのか
僕の中でまず考えたこと、それは「お金」ってもともと何なんだっけ?ということでした。投資家たちが繰り広げるマネーゲーム、それによって大金が動き、企業の動きに変化が生まれ、この社会に影響を与える、その媒介となっている「お金」は何者なのか?という疑問でした。
もとを辿ればお金は価値の交換物だったはずです。物々交換をするのに持ち運べないようなものや、モノではないサービスといったものを価値として認め、それをお金という統一されたモノに交換することで、流通や売買がスムーズになり、経済が活性化する。そんな仕組みのもと生まれたお金はもともと価値の代替物だったはずです。
しかし現代ではお金そのものが価値を生み出すものになっています。そしてお金を生み出さなければ無価値とも言われるほどになっています。
いつの間にか価値の代替物だったお金は価値そのもの、価値の源になってしまったんだと感じました。だからこそ、マネーゲームというお金をハンドリングすることが大金を生み出し、まるで大きな価値を生んでいるかのような構造になっているんだと思います。
そうやって本来的に価値のないことに価値を創り、資本主義経済は拡大を続けてきました。そのツケが今来ているのではないかと僕は思います。お金を持っていなければお金を生み出せない構造、それによる格差の拡大、貧困から抜け出せない人々、環境に配慮すると言いながら出来ない社会。そんな様々な問題が資本主義経済の歪みとなって表れているのではないでしょうか。
3)お金と価値の関係性を回復するために
そんな状況下でソーシャルビジネスがどうなっていくか、ソーシャルビジネスの未来は?と考えたとき、前回、自分が書いた記事を思い出しました。
(まだ読まれていない方は以下からぜひ)
https://ryohsugitani.hatenablog.com/entry/2019/09/22/222616
「ソーシャル」とは社会性に配慮することで新しい価値を生み出すことだと書きました。そしてソーシャルビジネスとはその生み出した価値にお金をのせていくことだと思います。今までお金にならないから無価値で、ボランティアじゃないと出来ないと思われていた領域から価値が生まれ、それにお金がのっかっていく。これこそお金と価値の本来的な関係なのではないかと思います。
だからこそ、ソーシャルビジネスの資本主義経済に対する意義は、お金の暴走の発端となった価値とお金の関係性を回復していくことにあるのではないかと考えています。本当の意味で「ソーシャル」な活動がビジネスになっていき、生み出した新しい価値に「お金」がのってくるという流れが、副次的にお金と価値の本来の関係性を回復し、資本主義社会の暴走に待ったをかける。そんな未来がきっと資本主義社会の中でのソーシャルビジネスの描く理想像なのではないかと考えています。
その理想像に近付くためにも、僕たちは「ソーシャル」を考え抜き、「面倒」なことに立ち向かっていかなければならないんだと思います。ビジネスとしての新しい動きを生み出すと同時に歪になった資本主義経済の是正というより大きなチャレンジに向けて今後も挑戦していこうと思います。
今回も記事を読んでいただきありがとうございました。
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